東京地方裁判所 昭和61年(ヨ)2320号
債権者
中浦芳明
同
高鶴淳二
同
中村禎宏
同
沢田了
同
松島敏博
同
横山宏
同
猪狩英則
同
渡辺寧久
同
遊佐美詠子
同
福田朋子
同
和田あけみ
同
佐伯和子
右債権者ら訴訟代理人弁護士
永盛敦郎
同
井上幸夫
同
上野廣元
同
小島成一
同
渡辺正雄
同
上条貞夫
同
坂本修
同
高橋融
同
西村昭
同
小林亮淳
同
秋山信彦
同
山本真一
同
柳沢尚武
同
岡田和樹
同
小木和男
同
牛久保秀樹
同
今野久子
同
小部正治
同
前田茂
同
志村新
同
橋本佳子
同
金井克仁
同
小林譲二
同
水口洋介
債務者
株式会社インタープレス
右代表者代表取締役
藤岡啓介
右訴訟代理人弁護士
池部敬三郎
同
岩井国立
主文
一 債務者は、債権者らに対し、昭和六一年九月以降本案判決確定に至るまで、毎月末日限り、別紙賃金目録記載の金員を仮に支払え。
二 債権者らのその余の申請を却下する。
三 申請費用は債務者の負担とする。
理由
第一当事者の申立て
一 申請の趣旨
1 債権者らが、債務者に対して、労働契約上の権利を有する地位にあることを仮に定める。
2 主文第一項と同旨
3 申請費用は債務者の負担とする。
二 申請の趣旨に対する答弁
1 本件申請をいずれも却下する。
2 申請費用は債権者らの負担とする。
第二当裁判所の判断
一 債務者が出版及びソフトウエアの開発販売等を主たる業務とする株式会社であること、後記解雇時まで債権者らがいずれも債務者の従業員であったこと、債権者らの賃金月額が別紙賃金目録記載のとおりであり、債務者においては前月二一日から当月二〇日までの賃金を当月末日に支払うものとされており、債権者は昭和六一年八月二〇日までの賃金は既に受領していることはいずれも当事者間に争いがない。
また、本件疏明資料によれば、債権者らはいずれもインタープレス労働組合(以下、「組合」という。)の組合員であることが一応認められる。
二 債務者が、債権者らに対し、業績不振による事業縮小のため昭和六一年八月三一日付で解雇する旨の意思表示(以下、「本件整理解雇」という。)をなし、右意思表示が、同月三〇日債権者らに到達したことは当事者間に争いがない。
三 そこで、右解雇の効力について判断する。
1 先ず、いずれも本件疏明資料として提出された藤岡啓介作成の各陳述書(<証拠略>)並びに藤岡美保子作成の陳述書(<証拠略>)には次のような記載がある。
(一) 債務者は、昭和四八年二月一日設立され、翌四九年三月、大手取次店との取引契約を締結して月刊誌「工業英語」を創刊し、続いて昭和五〇年より「工業英語別冊シリーズ」として辞典類等を刊行して出版社としての地歩を固めて行った。しかしながら、更に事業の拡大を図る新企画として刊行された他の新刊書、雑誌等はいずれも所期の収益を上げるに至らぬまま、数年で休刊、廃刊に追い込まれ、依然「工業英語」、「工業英語別冊シリーズ」とその関連書籍の出版のみに頼る営業が継続していた。一方、昭和五一年以来、電子出版時代の到来に備えて、英語と日本語を対応させた辞書データのコンピューターへの入力、蓄積を進め、昭和五八年には一億二〇〇〇万円の図形処理のためのコンピューターシステムをリース契約により導入して、将来における自社データベースの構築、図面英和翻訳システムの開発を目指したが、この間、蓄積した辞書データをもとに、専門分野別の辞典の出版や、電子辞書の開発、販売等も行ってはきたものの、従来の出版事業では必要としないプログラム開発、設備の拡充、専門要員の配置等の経費の負担のため、右事業は経営上の圧迫となり、最近数年間の決算では経常損益に損失を計上し続けていた。
そして、昭和六一年に入り、全般的な出版業界の不況の中、取次店を含む流通機関が新刊書の販売に消極的になり、その委託販売において従来なされていた内払がなされないことになって、注文買切品でなければ納品の際に代金の支払は受けられないこととなり、債務者は、年初の出版計画を縮小し、新刊書の発行を控えて、低経費で可能な、既刊刊行物の重版、在庫品の出版等により、売上を維持せざるを得ない状態に立ち至った。加えて、昭和六〇年二月刊行の「新ビジネス一八万語大辞典」、同年六月刊行の「科学技術略語大辞典」等の売れ行き不振により、総出荷額の九〇パーセント以上の返品が生じ、既に内払を受けていた取次店との勘定が赤字となって、その後の定期刊行物の内払集金も不可能となり、昭和六一年度においては一億八一〇〇万円の経常損失を出し、長短期の借入金も六億円を上回り、倒産の危機に直面した。
債務者は、昭和六一年六月末刊行の最新刊の「日中英一〇万語大辞典」の販売促進に努め、社長、編集担当部長、販売担当者四名が、全国規模で営業所を持つ大手書店を各地に歴訪するなどしたが、一五〇〇セット受注の目標が、七〇〇セット強の受注に留まって、遂に同年九月以降の資金繰りの目途が立たなくなり、関係金融機関からは抜本的な再建策をとらない限り融資を得られない状態となった。そこで、他部門の活動を可能な限り切り詰めて要員を投入し、第一期(同年七月一四日から同年八月八日まで)六〇〇万円、第二期(同月一一日から同年九月一〇日まで)九〇〇万円、第三期(同月一一日から同月三〇日まで)一〇〇〇万円の合計二五〇〇万円の目標で右「日中英一〇万語大辞典」の販売促進に尽力し、第一期の成果を待って再建案を決定することとしたが、右第一期の達成額は約一五九万円に留まった。
ことここに至り、債務者は、倒産回避のため、コンピューター機器の売却及びそのメインテナンス契約の解除、自社ビルの売却、金融機関に対する金利低減の要請並びに役員報酬及び管理職手当のカットを決定するとともに、本件整理解雇に踏み切った。
(二) 本件整理解雇で従業員を一二名削減することにより、債務者は、従業員二一名で四部一〇課の組織を、従業員九名による社長直属の五つのセクションの組織に簡素化することができ、これにより、毎月約三一〇〇万円弱あった売上は二三〇〇万円程度に減少するが、従来、毎月諸経費や返済金に三二〇〇万円強、返品に伴い一三〇〇万円強の支出があり、月一四〇〇万円以上の資金不足を生じていたのが、生産費、人件費等諸経費につき月一二〇〇万円以上の節約ができ、返品に伴う支出も月七ないし八〇〇万円程度となるため、毎月の資金不足も三ないし四〇〇万円に縮減することができる。
以上のような記載があるのであるが、右記載内容を裏付ける客観的資料は提出されておらず、右各陳述書のみをもって右記載内容が疏明されたものとはいい難く、仮にこれを認めるとしても、右記載内容は、債務者が経営不振に陥った経緯、その経営内容、本件整理解雇による経営規模の縮小により削減される支出等につき、その概略を示すに留まり、倒産の切迫性の程度、人員削減の効果等を具体的に把握するには未だ十分なものでなく、到底本件整理解雇の必要性を認めるには至らず、他にこれを一応認めるに足る疏明はない。
2 次に、本件疏明資料によれば、次の事実が一応認められる。
(一) 債務者は、経営不振回復の手段として、昭和六一年六月新刊の「日中英一〇万語大事典」の合計二五〇〇万円の売上計画を立てたが、その第一期として設定された同年七月一四日から同年八月八日までの期間の売上が、目標額六〇〇万円に対し、達成額が一五九万円に終り、人員削減が不可避となったとして、同月一八日の朝礼の際、「右売上計画の失敗によって人件費を半減しなければ銀行からの融資が得られない状態となったため、今後の売上予測、出版計画等を十分検討した結果、一二、三名の希望退職者を募集することとする。退職時期は同月末日、条件については退職金プラスアルファーとする。手続きや個々人の条件は千葉総務課長が相談にあたる。」旨発表した。
(二) その一週間程後、債権者渡辺寧久及び同中村禎宏が、同課長に「非公式ではあるが、希望退職者募集の件で聞きたい。」旨申し入れてきたが、同課長は、右債権者両名が希望退職者ではないことを確認のうえ、希望退職者でなく、労働組合としての正式の問い合わせでもないならば回答の必要はないと考え、「わからない」旨答え、右申入れを拒絶した。
(三) 債務者は、同月二九日までに一名も希望退職の応募者が出なかったため、解雇により人員削減を図ることを決定し、本件整理解雇に及んだ。
ところで、経営上の必要を理由としてなされるいわゆる整理解雇においては、労働者は帰責事由がないのに解雇されることとなるのであるから、使用者には、これに踏み切る前に、労働者に生ずる打撃を最小限のものに食い止め、また、極力労働者の了解が得られるよう、解雇回避措置及び労働者、労働組合との協議、説明に、相当と認められるに足る努力を払うべき信義則上の義務があると解すべきである。
そこで、本件について見るに、先ず、債務者は、本件整理解雇に先立ち、昭和六一年八月一八日の朝礼で希望退職者募集の発表を行ってはいるが、それきり、これに応ずる者が一名も出てこないのに何ら対策を考慮するでもないまま、一〇日程しか立たないうちに本件整理解雇に及んでいるのであって、そこには希望退職の実現を図る積極的な努力の形跡を窺うことができない。しかも、債務者は、右の他には、一時帰休や賃金切下等の解雇回避措置といえる行為を全く行っていないばかりか、かえって、本件疏明資料によれば、債務者は、昭和六一年度夏期一時金について、組合からの基本給、職務手当及び家族手当の合計月額の三〇〇パーセントの支払要求に対し、昭和六一年七月二五日、基本給及び職務手当の合計月額の一一〇パーセントの支払を回答をしていたが、その六日後の同月三一日には、突然同合計月額の三〇〇パーセントの支払を回答し、右一時金を一〇月末までの分割払にすることを決めていることが一応認められるのであって、債務者が本件整理解雇を回避するために信義則上相当と認められる努力を払ったものとは到底いい難い。
事前の協議、説明については、債務者は、朝礼や団体交渉の席等で、再三にわたり、債務者が経営危機の状況にあり、人員削減の可能性もあることを説明してきたと主張する。しかしながら、債務者において人員削減の必要が具体化したとする前記「日中英一〇万語大事典」の売上計画第一期終了時である昭和六一年八月八日以降は、債務者は、前記のとおり同月一八日の朝礼で希望退職者の募集を発表したのみで、以後、債権者らにも組合にも、何らこれに関する説明を行っていないばかりか、債権者渡辺寧久及び同中村禎宏の右募集に関する問い合わせがあったのに、極めて形式的な理由から、これにも応じていない。更に、本件整理解雇についての協議、説明に至っては、経過からしてその暇が得られないという訳ではないのに、全くなされておらず、この点についても、やはり相当な努力が払われたものとはいい難い。
3 次に、本件整理解雇の対象者の選定について検討する。
債務者は、本件整理解雇の対象者の選定は、<1>昭和六〇年八月二一日から翌六一年八月二〇日までの間、欠勤二回以上の者(ただし、遅刻、早退三回をもって欠勤一日と扱う。)、<2>同期間内に規律違反により懲戒処分を受けた者、<3>閉鎖部門在籍者で、専門職として採用された者との整理基準を設定し、これを経理事務のコンピューター処理ができる唯一の要員で新体制維持に不可欠な従業員申請外山本明美を除く全従業員に適用して行われたと主張する。
しかしながら、当事者間に争いのない事実及び本件疏明資料によれば、本件整理解雇当時の債務者の従業員は二一名であったが、そのうち解雇された債権者ら一二名はいずれも組合の組合員であり、残る九名はいずれも非組合員であったことが一応認められる。そして、本件疏明資料によれば、本件整理解雇の直前まで、債権者ら一二名の組合員は全員で腕章闘争や残業拒否闘争を行っていたことが一応認められ、更に、後記のとおり組合はかねてから活発な組合活動を行ってきており、債務者の組合に対する関心は相当に高かったと考えられること、前述のとおり債務者の全従業員数は高々二一名に過ぎないこと等も考え併せると、債務者は、債権者ら一二名がいずれも組合員であり、残る九名が非組合員であることを認識していたものと推認することができる。
そして、当事者間に争いのない事実及び本件疏明資料によれば、組合は、昭和六〇年一一月、当時の債務者の従業員二四名のうち一七名によって結成され、以来、昭和六〇年年末一時金等の要求、昭和六一年春闘要求及び同年夏期一時金等の要求を債務者に提出して多数回にわたり団体交渉を行うなど、活発な活動を続けてきたことが一応認められる。
また、組合が昭和六一年三月から日本出版産業労働組合連合会(以下、「出版労連」という。)に加盟していることは当事者間に争いがないところ、債務者の代表取締役藤岡啓介は、昭和六一年七月の中頃、組合執行委員長債権者高鶴淳二に対し、「出版労連については、千数百人を擁する日本出版販売が昨年脱退し、そのために、会社も組合も出版労連に多額の手切れ金を払った、まるでヤクザの足抜きのようだった、という話を聞いている。しかし、組織を守ることでは、これは出版労連にとっては当然の話だ。一人の配転をめぐって、ある会社が出版労連に執拗に攻め立てられ、うちとは違って利益をあげていながら、会社を整理したという話もある。上部団体としては配転問題の取り組みでは当然のことをしたというのだろうが、その社の従業員の運命はどうなのだろうか。いっそ、知り合いのヤクザや右翼に頼んで組合をつぶしてしまえば良かった、と社長さんが言っていたとのことだ。」等の発言をしていることが一応認められ、その発言からは右藤岡の出版労連を敬遠する思いが窺われる。
更に、本件疏明資料によれば、前記昭和六一年八月一八日の朝礼時の希望退職者募集の発表も、前記高鶴ら組合の幹部が全員不在の中で行われていることが一応認められる。
右の各事実を総合すれば、債務者の主張する前記選定基準は名目的なものに過ぎず、債務者は、組合の組合員であることを理由に債権者らを本件整理解雇の対象者として選定したものと推認することができる。
4 以上のとおり、本件整理解雇は、整理の必要性についての疏明がなく、解雇回避措置及び事前の協議、説明に相当の努力を払っていない信義則違反があり、対象者選定の合理性も欠くものであって、解雇権の濫用として無効といわざるを得ない。
四 次に、予備的懲戒解雇の主張について判断する。
1 債務者が、債権者高鶴淳二及び同渡辺寧久に対し、本件の昭和六一年一一月一七日付債務者準備書面を以て懲戒解雇の意思表示(以下、「本件懲戒解雇」という。)をなし、右意思表示が同日右債権者両名に到達したことは当裁判所に明らかである。
2 本件疏明資料によれば、債務者の就業規則には、従業員が故意または重過失により災害または営業上の事故を発生させ、債務者に重大な損害を与えたとき、または、これに準ずる程度の不都合な行為を行ったときは、懲戒解雇に処する旨の規定があることが一応認められる。
3 債務者が右懲戒解雇規定に該当すると主張する右債権者両名の行為については、当事者間に争いのない事実及び疏明資料により次の事実が認められる。
(一) 昭和六一年一〇月二一日、右債権者両名は、出版労連の役員二名とともに債務者の取引先金融機関である東京信用金庫江戸川橋支店を訪れ、本件整理解雇をめぐる紛争での組合の立場を説明して支援、協力を依頼し、同様の趣旨を記載した「株式会社インタープレスで起きている労働争議についてご理解とご協力をお願いする要請書」と題する書面を渡し、本件仮処分申請事件の審尋が同年一一月一七日には終了するので、その時は仲介の労を取ってもらいたい旨述べるなどした。同支店は、債務者に対し、右債権者両名らの行為により迷惑を蒙ったとして抗議するとともに、以後の取引に支障が生ずることを覚悟するよう通告してきた。
(二) 同じく昭和六一年一〇月二一日、右債権者両名らは、やはり債務者の取引先金融機関である三菱銀行江戸川橋支店を訪れ、前記(一)同様の説明及び依頼をなしたうえ、本件仮処分申請事件の審尋が同年一一月一七日で終了する予定であり、そうなると、債務者は、裁判費用や組合員の給料の支払等に一〇〇〇万円程必要になるが、その時は宜しく頼む旨告げた。同支店は、債務者に対し、前記一同様の抗議をするとともに、右支払についての融資を予め拒絶し、貸付中の約七五〇〇万円についても至急返済するよう通告してきた。
(三) 同じく昭和六一年一〇月二一日、右債権者両名らは、やはり債務者の取引先金融機関である文化産業信用組合文京支店を訪れ、前記(一)同様の説明及び依頼をなした。同支店は、債務者が同信用組合に依頼していた同年一〇月三一日支給予定の前記従業員二一名分の夏期賞与残金合計約五〇〇万円の資金融資を拒絶してきた。
(四) 同年一一月一一日、右債権者両名は、出版労連の役員二名とともに東海銀行高田馬場支店を訪れ、前記(一)同様の書面を渡した。同支店は、即刻、債務者に対し、前記(一)同様の抗議を申入れてきた。
(五) 同日、右債権者両名らは、三和銀行飯田橋支店を訪れ、前記(四)同様の行為をなした。
なお、右の他、右債権者両名が、債務者の取引先である大手取次店及び広告主に前記(一)同様の書面を手交あるいは送付し、これによって債務者の右各取引先に対する信用を失墜させ、債務者に重大な損害を及ぼした旨の債務者の主張及び疏明があるが、右各取引先の特定がなく、右事実を一応認めるには至らない。
4 以上の債権者両名の行為は、形式的には前記懲戒規定への該当性を備え得るものといえないこともない。
しかしながら、本件整理解雇は前記のとおり無効と判断されるものであるところ、本件疏明資料によれば、債務者は、本件整理解雇によって債権者らは従業員たる地位を失ったとして、その就労を拒み、右解雇以降の賃金の支払もなしていないこと、右債権者両名の各行為はいずれも債務者の右のような態度に対抗する組合の組合活動としてなされたものであることが一応認められ、右債権者両名の行為は、その態様自体が直ちに社会的相当性を逸脱するというものでもないから、仮に右債権者両名の行為が債務者に重大な損害を与える行為あるいはこれに準ずる行為であるとしても、債務者が前記のような態度をとる一方で、右行為を理由に右債権者両名を懲戒解雇することは、解雇権の濫用として許されないものといわざるを得ず、本件懲戒解雇は無効というべきである。
五 そこで、本件仮処分の必要性について判断する。
先ず、申請の趣旨第2項の賃金仮払の仮処分の必要性から検討するに、前記のとおり、債務者は、本件整理解雇によって債権者らは従業員たる地位を失ったとして、右解雇以降の賃金を支払わずにいるところ、本件疏明資料によれば、債権者らはいずれも債務者から支払われる賃金のみにより生活している労働者であることが一応認められるので、右仮処分の必要性は存するものと認めることができる。なお、債務者は、債務者が倒産の危機にあると主張するのであるが、右仮処分によって、債務者に回復し難い損害が生ずることの疏明はなく、右認定を左右するに至らない。
次に、申請の趣旨第1項の地位保全の仮処分の必要性については、債権者らに賃金仮払に加えて地位保全を必要とする特段の事情があることの疏明はなく、右仮処分の必要性を認めるには至らない。
六 よって、主文のとおり決定する。
(裁判官 川添利賢)
賃金目録
<省略>